清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2023/04/24
高校3年生の選択授業の社会実践では手話を勉強しています。
昨年度は、2回にわたって実際に4名の聴覚障がい者の方が学校に来てくださり、交流する機会をもちました。
みなさんは自分の名前をどうやって覚えたでしょうか。
小さいころから名前を呼ばれて、「私の名前は〇〇」と自然と覚えてきたと思います。
しかし、耳の聞こえない人は自分の名前を呼ばれていたとしても聞こえません。
肩や体の一部を触れられることで、呼ばれていることに気づきます。
なので、自分に名前があることを知りません。
3歳で寮に入ったときに、ろう学校の保育で初めて自分に名前というものがあることを知ったと一人の方が話してくれました。
交流の時間は短かったですが、3年生の緊張はすぐにほぐれて、ゲストの方の手話をよく見て理解しようとしたり、精一杯知っている手話をしたりすることによってとても楽しそうに生き生きとしていました。
今日の聖書個所にはこう書かれています。
「『心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』これが最も重要な第一の掟である。第二も、これと同じように重要である。『隣人を自分のように愛しなさい。』」。
大人やSNSなど、社会がことばを軽くしてしまっている現代の中で、高校3年生は、手話を覚え、聴覚障がい者に対して、手話を通してことばを1つ1つ丁寧に相手に伝えることを学びました。
初めての手話に向き合い、手話によって拓かれた新しい世界を知り、その世界を大切にすることも学びました。
高校3年生は、交流の時間で相手を思い、精一杯伝えようとすることでとても温かく穏やかな表情に変わっていました。
ゲストの方々に、音のない世界が逆に楽しい世界に思わせてくれるような、目には見えないけれど、何か強い力をもらったとみんなが感じた時間でした。
相手のことば大切にする、相手の世界を大切にするということは、隣人を大切にする、隣人を愛するということです。
手話をすることによって、相手だけでなく手話で会話しようとする自分自身が生き生きとしてきます。
相手のことを考えているようで、実は自分が生かされていると感じた時間でした。
この時間を今年度も大切に過ごしていきたいと思います。