清和女子中高等学校。創立113年の高知県の私立女子校。キリスト教主義の中高一貫校です。
2022/07/04
ジグソーパズルから学園祭を考えてみました。ジグソーパズルは子どもに作られた教材が始まりです。
200年前にイギリスの木工職人が自分の子どもに地理を教えるために、ジグソー(糸のこぎり)で板を小片に切ってパズルを作ったのが始まりです。パズルのもともとの意味は「懸命に考える」です。
ジグソーパズルの特徴を考えてみると、1つの作品に1つとして同じピースがありません。たとえ似たような色合いや形をしていても、すべて違っています。そしてピースの数がたくさんある作品を時間をかけて作ったとしても、1ピースでも欠けていれば完成したことにはなりません。
ピースはだいたいが厚紙でできています。それだけで値打ちがあるとは言えません。でも1ピースが失われてわかるのは、そのピースの価値と存在の大きさです。1つ1つの大切さです。
準備をしてきた学園祭が始まりました。今年の学園祭の大きなテーマは「平和をつくり出す人々は幸いです」。これは清和の建学の精神にもなっている聖書の言葉です。平和を実現する人々は幸い、幸せだと書かれています。さらに、その人たちは神の子という最高の言葉でほめられるとあります。
聖書は生きるものすべてにとって、平和が大切であることを教えているのです。その平和について、平和の反対言葉は何ですか、と聞かれたら、多くの人が反射的に「戦争」と答えます。でも平和の反対言葉が戦争だけとは限らないのです。もし平和の反対言葉が戦争以外に思い浮かばないとしたら、それは平和とは何かがよくわかっていないからということができます。
今ロシアから激しく攻撃され、命を奪われ住むところを奪われているウクライナの人たちにとって、一番の願いはロシアが戦闘をやめることです。しかしそれだけではありません。ウクライナの人たちにとっての平和は、世界中の人たちが自分たちにどれだけ深く関心を持ってくれているかどうかにあるのです。
世界中の人が自分たちのことにあまり関心がない、無関心だとしたら、それは、無視された、見捨てられたということなのです。自分の存在が無視されることほどつらいことはありません。無視することでロシアの戦争に協力しているということにもなるのです。そのように考えると、平和の反対言葉は「無関心」となります。
無関心が平和を壊すことを教えてくれるのが、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な社会を目ざしてのSDGs、17の目標と169の取り組み」です。そこで明らかにされたのは、平和を壊すものは戦争だけではないことです。
平和(ピース)を壊すものには、気候変動による温暖化、どんどん広がる経済格差、子どもの貧困など、たくさんのピースがあることがはっきりしました。今年の学園祭では、各学年各クラスが国連サミット17の目標から、どれを選ぶか決め、具体的に取り組むことになりました。
各クラス各学年のこれまでの取り組み、つまりそれぞれのピースがしっかり組み合わせることができたら、平和を実現するための小さなジグソーパズルは完成したことになります。本当の平和に無関心ではなく関心を持った人になっていけます。
平和を実現する人々の仲間入りをすることになります。学園祭に取り組んでよかったとなります。
ぜひそのような1日にしていきましょう。