礼拝の話

2023/10/02 

9月21日(木) 聖書 ルカによる福音書 4章40節 日本キリスト改革派 山田教会 高内信嗣牧師

先日、YouTubeで中村哲さんを特集している動画があったので視聴しました。

中村先生はアフガニスタンとパキスタンで35年間、医療支援を続けて来られた日本の医師ですが、2019年12月4日に何者かに銃で撃たれ殺害されました。

中村先生はクリスチャンで、神経内科を専門とする医者として働いていました。

先生は最初はパキスタンの山に登る登山隊に帯同する医師として現地に入られました。

登山と昆虫採集が趣味だったので、その山で珍しい昆虫に出会えるかもしれないと思ったのです。

しかし、中村先生はそこで、パキスタンやアフガニスタンの貧しい人々の現実を見ることになります。

そして、現地で医療支援を始める決意をし、実際にその働きを始めることになりました。

しかし、いくら病気を治療したとしても、そこに清潔な水と食料がなければ人間は生きていくことができないということを痛感されます。

「この状況が改善されなければ医療行為は空しい」と、中村先生は河川工学を一から学び、井戸を掘り、川から水を引いて用水路を造る事業を始められたのです。

視聴した動画では中村先生が、人々に用水路の補修と手入れを呼び掛ける映像がありました。

実はこの用水路を作る時、中村先生は日本の昔からの技術を応用し、重機やコンクリートを使わず、針金の網で籠を作り、そこに石を入れた物を積んで工事をしました。

コンクリートで作ると、やがて壊れてしまった時、現地の人は補修ができないので、ずっと使い続けることができるように、あえて江戸時代から伝わる日本の技術を応用したのです。

ここに中村先生の現地の人に寄り添う愛の姿が表れていると思います。

中村先生の行動の根底には、一人ひとりに手を置いたイエスの愛の眼差しがあったに違いありません。

そして中村先生の死後3年以上経った後も、中村先生と共に診療所を立ち上げたアベドさんという方は、中村先生の意志を引き継ぎ、無料で貧しい人々へ治療を続けています。

本日の箇所で、イエスは人を決して十把一絡げに扱うことはなさいませんでした。

一人ひとりの痛みに手をおいて癒されたのです。

イエスは、差別されている者たちや、貧しい者たち、病を抱えている者たちを拒否されませんでした。

一人ひとりの痛みに寄り添われたのです。

私たちは今一緒にこのイエスの姿を見ています。

その時、私たちは上から目線ではなく、一人ひとりの痛みに寄り添う、そういった姿勢が生まれるに違いありません。

だれもが中村先生のような働きができるわけではありません。

アフガニスタンに誰もが行けるわけではありません。

しかし、この清和でイエスを見つめるということは、今まで見えてこなかった現実が見えてくるのではないでしょうか。

私たちはイエスを通して視野を広げたいと思います。

そうすれば、身近な人々の痛みや悲しみの現実が見えてきます。

そこから私たちの愛の業が始まっていくのです。

学校生活の様子

学校生活|中学校一覧へ

学校生活|高校一覧へ

学校生活一覧へ

礼拝の話一覧へ

中学・高校 学年の通信から一覧へ

クラブ活動一覧へ

▲ページトップへ